主な登場人物

ひあがり():
 この連載企画を始めた人物。名前の由来は北九州市の日明(ひあがり)港から採ったらしいぞ。プロ野球は、マリーンズのファン。

シロウト():
 ひあがりに無理矢理頼み込まれてこの企画に参加させられた、ミスター・サクリファイス。ひあがりに言わせると、それは「コラテラル・ダメージ」だそうだ。ブルーウェーブのファン。

前回までのあらすじ

「戦略プロ野球2004」でオリジナル・チームを作って、ペナントレースを楽しみつくそう! と、ひとり意気込むひあがりは、そのアイディアに気乗りしないシロウトを説き伏せ、二人でオリジナル・チーム作りを始めることになったが。

第2回「そもそも具体的にどーやって作るのよ?」

「では、早速オリジナル・チーム作りに精進する。以上、解散!」

「待ってよ! ボクはチームの作り方が全然分からないと言ったじゃないですか。何も聞いていないんだから、まったく」

「なるほど、ではマニュアルを読め! 以上、解散!」

「そのマニュアルに、作り方が書かれていないんですけど」

「・・・。ちっ! 大変に鋭敏なご意見をありがとうございました。て言うか、『戦プロ』は、実在チームでペナントレースを戦うことが大前提になっているからな。
  オリジナル・チームを作るのは、どちらかと言うと隠し要素的なプレイスタイルとも言えよう。だが、その隠し要素が無茶苦茶面白いのだよ」

「能書きを垂れてますけど、要は記載漏れなんですね」

「いや、断じてそうではない! むしろ行間を読んで欲しかったと言うか」

「(にこやかに怒りながら)読めるわけないでしょ?」

「(無視して)では、いよいよオリジナル・チーム作りに取り掛かることとする」

「ひとの話しを聞いていないんだから、まったく」

「まず、『戦略プロ野球2004DX』を起動するのだ」

「『スタンダード』の方じゃダメなんですかね?」

「うむ。『スタンダード』でも“通常モード”を使ってオリジナル・チームが作成できる。だから必ずしも『スタンダード』がダメだと言うのではないが、“育成モード”が搭載されてるのは『DX』だ。
  せっかく作ったチームと選手なのだから、成長した方が断然楽しいし、何よりも、特殊能力を入手するためには、プレイヤー同士で対戦する必要がある。
  (インターネット)対戦機能が使えるのも『DX』だろう? だからなのでR!」

「その語尾の“R”って何よ、“R”って? もしかして昭和ヒトケタですか? ひあがりさんの感性がいまだ昭和ヒトケタなのは、開発に関わる者として大問題だと思いますよ」

「(完璧に無視しながら)ほれ、これが起動画面でR! “育成モード”をクリックした後に、“新たに育成モードを開始する”を選択するのだ。
  次いで表示されるのが、日程画面になる。ここで“ミーティング”ボタンを、明日のためにクリックするべし! するべし! するべし!」

「はいはい、分かりましたから。それから、この“チーム編成”ボタンを選択すれば良いんですね?」

「いや、ちょっと待て。試しにそのまま“チーム編成”ボタンを押してみたまえ」

「はいはい、押しましたよ。・・・。ありゃ? タイガースの編成画面が表示されましたね。と言うことは、このままエディットしてしまうと・・・」

「ご想像に違わず、タイガースが消えてしまうことになるな」

「ボクはタイガースを悪からず思ってるので、それは避けたいなぁ。どーすりゃ良いんですか?」

「・・・。君は本当にテストプレイヤーだったのかね? その窓から飛び降りて良いよ。」

「あの~、ここは9階なんですけど」

「別段、私は構わんよ。それにごく最近、9階からジャンプして、ピンピンしてた卓球選手だか芸能人なんだかが居ただろう? 同じスポーツマンのシロウト君だってきっと大丈夫さ。
  と、まぁ余談はさておき、オリジナル・チームを作るためには、オリジナル・チームと任意の球団とをそっくり入れ替えてしまう必要があるのだよ、明智君」

「明智ってボクは光秀かよ! ということは、どの球団のエントリーを使うのか、事前に決めている必要があるのですね」

「事前に決めていなくとも、“リーグの設定”を選択して、一番上のチームアイコンをドラッグアンドドロップすれば、セ・パ、どのチームとでも自由自在にチーム位置を変更できるのだ」

「意外に細やかな機能があるんですね」

(ズコッ! )シロウト君、きみってマジにテストプレイヤーなの? と言うか、変更はできるのだが、お気に入りのチームを消してしまったりしたら、アブハチ取らず、じゃなかった後悔先に立たずになってしまう。だから事前に使うチームを決めておいた方が吉、なのだ」

「なるほど、それはセンセーショナルなマターですね」

「あのな、それを言うなら、『センシティブなマター』だろう。まぁ、どうでも良いが、どのチームを使うのか、あらかじめ決めておくべきだと理解できたかね?」

「ええ、ボクは憎っくきライバルチーム、○×△◎□のエントリーを使う事に決めました!」

「あのな、それを近視眼的判断と言うんだよ。いいかね、自分の好みでないライバルチームに上書きしてオリジナル・チームを作ることも、もちろん楽しみ方のひとつだろう。
  だが、それではオリジナル・チームで、そのライバルチームを打ち破る爽快感が失はれてしまうだらうが。」

「なんか、言葉使いが突然古くなりませんでしたか? それに、そんな考え方もあるんですね」

「モチのロンさ。自由奔放闊達快適様々な楽しみ方ができるのが『戦プロ』の特長だからな。であるからこそ、エントリー球団の選択は、ひじょーに繊細な問題なのだ」

「では、ひあがりさんは、エントリーを決めていると・・・」

「左にあらん! 私のエントリーは・・・、エントリーは・・・、エントリーは・・・」

「針飛びレコードかよ! 映画『リリー・マルレーン』を思い出しました」

「おい! きょうびレコードの針飛びなんぞ、ナウなヤングは知らんぞ! それに『リリー・マルレーン』とは、シロウト君、きみって本当は何歳?
  ・・・。で、私のエントリーは、ぅぐっ・・・(涙)、Myフェバリッツチーム、マリーンズと決めているのだ! (滂沱)」

「ギクッ! それってもしかして」

「察しが良いな! きみのエントリー球団は、他ならぬ、ブルーウェーブにしたまえ! 是非ともそうしろ! いや、それ以外の選択肢は決して認めん!
  てか、今年のパ・リーグは話題満載のプレーオフもあるし、ホークスとライオンズは強いし、バファローズやファイターズも戦力が整って来ているし、八面六臂縦横無尽四面楚歌で戦い甲斐があるぞ!」

「そんな殺生な! プレーオフなら、“リーグの設定”で、セ・リーグにだって適応できるでしょ?
  セ・リーグでやりましょうよ! 何も好きな球団を使わなくったって!」

「甘い! 実に甘い! マーヴェラススイートである! フェバリッツチームを使うからこそ、嫌が上にも思い入れが増し、そしてフェバリッツチームとの戦いを避けることで、雑念邪念無念を排除して、純粋にオリジナル・チームの戦いぶりに没頭できると言うものなのでR!」

「とほほ、ご高説、頭では理解できましたが、澎湃たる涙が止まらないのは何故でありますか?」

「それだけシロウト君がプロ野球を愛しているからだ! 引いては我々のプロ野球のためなのだ、涙を飲んでやって呉れたまえ。
  では、次回第3回『こんなチーム構成で実際どーよ? 』までにオリジナル・チームを作っておくこと! 以上、解散!」

「はいはい、分かりましたよ。作る以上は、最高のチームにしてみせますよ。しかし、なんだかなぁ~」

次回、ようやくオリジナル・チームの全貌が! )