主な登場人物

ひあがり():
 行く行くは、ゲームを通じてプロ野球に絶大なる貢献をするのだ! と、誰にも頼まれていないことを勝手に決めているプロ野球DQN。

シロウト():
 万事、指示通りに仕事を上げて来ない筋金入りのツワモノ。その名前は、いわゆる”素人”ではなくて、アニメネタらしい。
「エヴァかよ!」

第2回までのあらまし

いよいよ「戦略プロ野球2004」でオリジナル・チーム作成に乗り出したひあがりシロウトであったが、オリジナル・チームを作るためには、既存球団のエントリーを使わねばならないと分かり、それぞれ自分の好きなチームのエントリーを使ってチームを持ち寄る運びになった。そして一週間が過ぎ、いよいよ、その当日。

第3回「そもそもルール無しってどーなのよ?」

「ひあがりさん! 遅かったじゃないですか! ボクはとうに待ってましたよ!」

「いやスマンスマン。両リーグのOPSを作ってたら、時間を食っちゃってな。しかしシロウト君、気のせいか、今日はやけに瞳が輝いておるな」

「また訳の分からないものに熱チューして。おっと、それよりも、早くボクの作ったチームを見てくださいよ。大好きなブルーウェーブを使ってまで作ったチーム、本当に力作なんですから」

「その感じを見る限り、少しはオリジナル・チーム作りの楽しさが分かって来たようだな。で、打ち合わせ通り、作ったのは野手と投手併せて一軍登録枠の40名にしたかね?」

「もちろんですよ。はっきり言って支配化選手枠限度の70名ところか、40名作るのも結構大変でしたが、慣れてくると意外に楽しい作業でした」

「そうだろうそうだろう。で、どんなチームになったのだね?」

「まず、これが選手名です」

「どれどれ、美野島、博多、山王、中洲・・・。(ズルッ!)って、チーム名だけじゃなくて、選手名も地名なのかよ!」

「結局、選手の名前を考えるのが一番ヤッカイだったんですよ。チーム名だって”筑前・アルファ”なんですから、いまさら選手名にこだわらなくても、良いチームであればオッケーではなかろうかと思います」

「・・・手抜き。シロウト君! それは手抜きと言うものだよ! と言いたいところだが、40名もの選手名をいちいち考えて付けるのは確かに骨が折れる。
  身近な素材や、自分が得意な分野、熟知している分野などから名前を取るのもまた良かろう。今回の意見、シロウト君のそれにしては、一理ある意見と言えよう」

「これをキッカケに、大いにボクを見直して欲しいですねえ」

「う~む。ま、1ミリバールくらいは念頭に置いておこうか。で? 肝心のチーム構成はどう取り決めたのだね?」

「ミリバールって何ですか? ミリバールって。・・・。細かい問題は置いといて、これがボクの自信作、『筑前・アルファ』です!」

「・・・。」

「ひあがりさん、どうしたんですか? 黙っちゃって。ボクのチームの、あまりの無敵ぶりに、見惚れちゃったですか?」

「・・・。」

「さあさあ、感激で真っ赤になってなくて、ひあがりさんのチームも見せてくださいよ!」

「うつけ者? 信長でも居るんですか?」

「あのね、シロウト君。(トホウに暮れながら)きみねぇ、こんな超人選手ばかり集めたチームの、どこが力作のオリジナル・チームなの?
  これでライバルに勝ったとして、それで一体全体心底無邪気に嬉しいの?」

「(元気良く)ええ! 嬉しいです!」

(ズルッ!)シロウト君、きみのそのイノセンツさに、オレは完敗だよ白旗だよ無条件降伏だよ。つまり、だな、ある程度は以心伝心で問題無しと、ルールをキチンと決めなかったオレが悪いのだ」

「ひあがりさん、誰にでも過ちはあるものです。気を落とさずに」

(ズコッ!)だはははは(泣き笑い)。そうだね、その通りだ。まったく、きみからは得がたい教訓を沢山学んだよ。
  もう一度編成画面を見てくれ。チームアイコンのすぐ右のところに、『野手能力ランク合計』『投手能力ランク合計』と言う欄があるだろう?」

「前からこの数字がなんだか知りたかったんですよ」

「さすがシロウト君だ。機能を理解せずにテストさせたら、那の津イチだな。その数字は、該当するチームに登録されている野手の能力と、投手の能力とを、それぞれ数値化して評価しているものなのだ。
  例えば能力値が”A”ならば10ポイント、”B”ならば7ポイントと言う具合に評価値が決まっておる」

「ほお、それで、その数字が何の役に立つんですか?」

「まあ先を急ぐな。で、きみのチームの選手をもう一度見てみようか。選手能力ウィンドウの、右下のところに『個人ポイント』と言う数字があるだろう?」

「ほお、確かにありますね!」

「おお! 気付いてくれたか!(落涙)
  『野手能力ランク合計』『投手能力ランク合計』とは、所属選手を野手、投手別に分けて、そのすべての個人ポイントを合計したものあり、すなわち、そのチームのチーム力とやらを数値化したものなのだ!」

「なるほど、それで?」

うぐぐ。つまり、個人ポイントで言えば、きみの作った那珂のポイントが97、『戦プロ』に収録されている野手で、最もポイントの高いSHINJO選手でも74ポイントに過ぎないのだよ。しかもSHINJO選手は、外野守備に”A”が3つ付いているからと言う理由でポイントが高いだけなのだ。
  参考までに言うと、高橋由伸選手ですら61ポイント、投手で一番ポイントが高い松坂投手でも79ポイント。
  だから、きみの作った選手の能力が、他のチームと比較して高過ぎると理解できるだろう?」

「そうかもしれませんね。それで、何が問題なの?」

グギギ。いいかい? 12球団のなかで、最も総合的に投手ポイントが高いのは、ホークスの1414ポイント。
  そして、野手ポイントが高いのが、ジャイアンツの1243ポイント。
  しかも両チーム共に、70名枠ほとんど一杯に使ってこの数値なのだよ。
  だから、ここに僅か40名で、チームポイントが、それぞれ1710に1836もあるチームを編入させると・・・」

「編入させると?」

きみはバカかね!? こんな結果になると、いい加減気付けよ!

「はあ、幾らなんでも勝ち過ぎてると仰りたいのですね」

「ご名答! そう、幾らなんでも勝ち過ぎてしまうのだ。大体防御率0点台のチームって何よ? 投手は打たれてこそ、炎上してこそ、爆沈してこそが華! だと言うのに」

「それは、ひあがりさんの解釈ですよね。ボクは1点たりとも獲られたくありませんけどね。・・・。
  分かりました、7月に優勝が決まってしまうようでは、ペナントレースも盛り上がらないと。それで、ボクはどうすれば良いのですか?」

「指示待ち族かよ! だ・か・ら! オリジナル・チームを作るにしても、適度な規制、つまりルールが必要なのだ。
  実在チームとペナントを激しく争えるチームに仕上げるため、私が日夜研究に研究を重ねた結論が以下のルールなのだ!」

【ルール1】
支配下選手は、野手/投手併せて40名までとする。

【ルール2】
オリジナル・チームの能力ランク合計は、野手/投手併せて1250ポイントとする。ただし、このポイントは、どのように割り振っても構わない。

【ルール3】
超人的な能力を備えた選手の登録を防ぐため、個人ポイントの上限を40とする。

【ルール4】
ひとりの選手に付けられる能力”A”は、2つまでとする。

【ルール5】
レギュラー選手だけにポイントを集中させないための措置として、個人ポイントの下限を25とする。

「以上! 5つのルールを遵守し、次週までに再編成したオリジナル・チームを持ち寄ること! では、解散!」

「ボクは今の強いチームのままで、文句無いんだけどなあ」

「何か言ったか?」

「いえ、何も」

「では、次週を期待している。ちなみに言っておくが、チームを作るにおいて、『なんとなく』はキンモツである。
  『オレのチームはこうだ!』と言う、カッコタル方針が!
  例えば『打線は凄いが、投手力が弱い』であるとか、『小粒だが韋駄天揃い』だとか、チーム編成の方針に筋を通さねば真に良いチームにはならない」

「面倒ですけど、そこら辺は、現実のチーム編成と相通ずるものがあると言うことですね」

「その通りでR! では、それを肝に銘じて、本日は解散!」

次回、今度こそオリジナル・チームの全貌が!)