今川義元の娘。
義元の跡取りとして育てられたはずだが、甘やかされたからか単に当人の資質の問題か、武芸や政などの仕事に関わる方面ではまったくやる気を見せない。
しかし、文化面に関しては父顔負けの才覚を示す辺りはやはり親子か。
自らに危機が迫る時、余人には関知できないなにかを察して無自覚に危機を回避する、不思議な才能を有する。
今川家の最後の当主。
父・義元が桶狭間の戦いで織田信長によって討たれたためその領国を受け継いだが、武田信玄と徳川家康の侵攻を受けて敗れ、戦国大名としての今川家は滅亡した。その後は北条氏を頼り、最終的には徳川家康の庇護を受けた。今川家は江戸幕府のもとで高家として生き延びた。
『甲陽軍鑑』では、『鈍過たる大将(馬嫁なる大将)』として氏真が挙げられている。
心は剛毅であり戦闘も下手ではなかったと描かれているが、譜代の賢臣を重んじず、三浦義鎮のような『奸臣』を重用して失政を行ったという点に批判の重点が置かれている。
和歌や蹴鞠といった娯楽に溺れ、国を滅ぼした暗君としてのイメージが強く、このイメージは歴史小説や歴史ドラマにおいてしばしば踏襲されている。