| イワン、ちょっといいか? |
| どうした? |
| キャンプに新入りが来ている。そいつの相手をしてやってくれないか |
| 昨日テッドが置いていった資料の奴か……見たがありゃ、ほとんど新兵だぞ? 使い物になるかどうか…… |
| だが、全く使いものにならない奴を引っ張ってくるとは思えん |
| 仕方ねぇ。ここの所連合の動きもないことだし、暇つぶしがてらちょっと付き合ってやるか |
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| よく来たな。名前は……? |
| わ、私は… |
| いや、いい。どうせ忘れちまうんでな。まあ、この訓練を見事やり遂げたら覚えてやってもいいがな |
| サッ……イエッサー! |
| 返事だけは一人前か。まあいい。さてお前さんにしてもらう訓練の内容だが…… |
| サー! 自分は自宅警備保障を主席で卒業し、シミュレーター演習には自信がありますっ!! |
| どこの警備会社だそりゃ? ……まあ、いい。じゃあ、とりあえずやってみろ |
| イエッサー! |
| まずは投入戦力から決めろ。それからだ |
| 了解でありますっ |
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| 今回の目標は敵の暫減ですね……では、やはり、主力は戦車です。……戦車は1部隊しかないのでありますか? |
| まあな、こちとら軍資金に余裕がないもんでな |
| 了解です。知っていますよ、こういうときにどうすればいいか! |
| まず、歩兵を外して……この戦車駆逐車を……っと |
| サー! 準備万端でありますっ |
| そうか、では始めてくれ |
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| うをっ、周りが……、ぜんぜん見えない…… |
| 当たり前だ! 視界を確保したければ、周囲を捜索する歩兵を準備しておけ! |
| いいか、机上演習では偵察部隊が視界を確保してくれる。だがそれは便宜的にそのように見なしているだけだ |
| 俺たちが率いるのは生きた兵士だ。装甲車に乗っていては周囲の状況などわかるわけないだろう!! |
| で、では、私はどうしたら…… |
| 部隊編制からやり直せ。これがシミュレーターでよかったな。実戦なら二階級特進だ |
| り、了解しました! |
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| サー! では、歩兵を新たに2部隊編制してみました |
| いいだろう。先へ進んでみろ |
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| うはっ、こ、こ、こんなに広く見ることができるなんて…… |
| よし、ではお前の腕前を見せてみろ |
| サー、イエッサー! |
| 見える範囲に敵はいません。でもこの先はわからないから……この戦車駆逐車を盾として……前進させて…… |
| うはっ、なんか敵にヤられてしまった! |
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| 視界が開けているからといって油断するな! もういい、失格だ! 帰りの航空券を支給してやる |
| ちょっと待ってくださいっ! ここで帰されると故郷の母ちゃんが…… |
| ……んなこと知るか! |
| お願いです! チャンスをくださいっ!! |
| 実戦にやり直しがあると思うか? |
| ありません! サー!! し、しかしこれはシミュレーター。訓練です |
| これからが本番ということで、見逃してくださいっ! |
| ようし、そこまで言い切るなら今回は見逃してやる |
| 本日から1週間、目覚めた時に俺の優しさとママの存在に祈れ |
| イエッサー! |
| いいか、敵の歩兵はどこに【隠蔽】しているかわからん。 だからそいつらを見つけるためにこっちも歩兵を使うんだ |
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| サー! 質問がありますっ |
| なんだ |
| 歩兵を先行させたら、敵の火力部隊に殲滅させられる恐れがありますっ |
| そうだ。だが、敵の歩兵が隠蔽できる場所は限られているからな。そこを上手く利用しろ |
| 隠蔽できる場所とは、どのような場所でありますか? |
| 森や林のような見通し利かない地形。そして街中だ |
| まさにコンクリートジャングル! |
| 無駄口を叩く余裕があるなら、手を動かせ! |
| サー、イエッサー! |
| まず、敵が隠蔽できない地形に装甲部隊を配置して壁を作る。その後に、視界内にいるかもしれない兵を炙りだせ |
| サー、イエッサー!!! |
| よし、ではもう一度だ |
|
| もちろん、自分も同様に隠蔽することができる。隠蔽をすることができる奴は、兵器の詳細情報を見ればわかるようになっている |
| なるほど |
| お、この歩兵は隠蔽できますね。じゃあ、この林で待機だ |
| …… |
| さて、『NEXT QUATER』っと…… |
| はぅ!敵が攻撃してきた!?歩兵でちゃんと調べたのに……嘘つきっ!!! |
| ビキビキ(#^ω^) |
|
| 上官になるかもしれない俺を嘘つき呼ばわりとは、恐れ入るな |
| は! いえ…… |
| もういい。いいか、隠蔽を暴くには【索敵】の能力が必要だ |
| はい、先生! この歩兵、【索敵】持ってます! |
| 誰が先生だ? よく敵を見ろ。索敵にはレベルがあるだろう? |
| はい……、えぇっと……、索敵Lv2です |
| そうだ。そいつは隠蔽レベルが1、2の部隊を発見することができる |
| ということは…… |
| 相手の部隊を調べてみろ |
| ……隠蔽LvS……? |
| そうだ。レベルの関係は次のようになっている |
| 隠蔽なし | 隠蔽 Lv.1 | 隠蔽 Lv.2 | 隠蔽 Lv.S |
索敵なし | ○ | × | × | × |
索敵 Lv.1 | ○ | ○ | × | × |
索敵 Lv.2 | ○ | ○ | ○ | × |
索敵 Lv.S | ○ | ○ | ○ | ○ |
|
| この特殊部隊の隠蔽レベルはSだ。つまり、こいつを見つけるには索敵LvSが必要だ。索敵Lv2じゃ無理だな |
| つまりこの部隊に襲われたら……こっちからは見えないのに一方的に攻撃を受けることに……? |
| そのとおりだ |
| どうすればいいんですかっ!? |
| それを考えるのがお前の仕事だろう! |
| ハ、ハイッ |
| ……ったく。こういう奴らに出会ったらな、近寄らないのが一番だ |
| どうしても叩かなきゃいけない時は、隠蔽できない地形に誘きだすとかいろいろやり方はあるだろう |
| な、なるほど…… |
|
| おいっ! こんなの本当に使うのか? |
| どうした? やはりダメだったか? |
| それ以上だ! 素人のほうがよっぽどましだぞ |
| そんなこと言わずに、イワン先生! |
| 先生じゃねぇ!! |
| まあ、もう少し付き合ってやれ |
| ……俺はもう疲れた。残りは今度だ |
| サー、イエッサー!! |