■北朝鮮併合・阻まれた統一

 20XX年、ついに北朝鮮の体制が崩壊。中国は金総書記からの依頼と称して、北朝鮮に人民解放軍を進駐、これを掌握した。さらに中国は北朝鮮を、チベットや新彊ウイグルなどと同様の自治区に組み込むことを発表した。
 この電撃的併合の背景には、中国が、南北朝鮮統一により韓国との緩衝地帯が消滅し、自由陣営に包囲されることを恐れたことや、北朝鮮沿岸の大陸棚資源獲得の目的があった。また、南北統一は韓国経済に多大な負担を強いることが予想され、たとえ北朝鮮が中国に組み込まれても、韓国が強硬な武力行使に訴えることはないとの甘い読みもあった。
 韓国はこの併合を中国の領土侵略であると抗議し続けるが、中国は北朝鮮自治区内の親中国派の支持をバックに居座り続ける。そしてついに、韓国内強硬派に後押しされる形で、戦端が切って落とされた。
 これに対して中国は、「米軍が介入すれば核兵器を使用する」という脅し文句を切り札として使用。このため、またイスラムテロ組織との果ての見えない戦いで厭戦気分が蔓延していたこともあって、米国は参戦せず、韓国は単独での戦闘を強いられることになってしまった。
韓国軍は38度線を越え、旧北朝鮮内に進撃を開始。日本海と黄海では、中国・韓国両海軍部隊の衝突が発生した。
これは、やがて米軍はもちろん自衛隊をも巻き込んでいく凄絶な戦いの、ほんの序章に過ぎなかった……。

■ソマリアの悲劇再び

 9・11以降、米軍主導の国際協力体制のもと、世界中のテロ組織の撲滅が急がれていたが、ソマリアの首都モガデシオのアイディード将軍のもとに、アルカイダのメンバーを含む多数のイスラム過激派幹部がかくまわれていることが判明した。
 米軍は過去、モガデシオにおいてアイディード派幹部逮捕作戦を実行したものの、多数の米兵死者を出しながら作戦に失敗するという、手痛く苦いトラウマを抱えていた。このため米議会および米世論は、直接の軍事行動に対して否定的な態度を取り続ける。
 そして結果的に、これらテロ組織の掃討作戦は、英仏共同軍の手に委ねられることになった。
 英仏軍は、自爆テロなどを防ぐために陸上には仮設基地を一カ所しか造営できなかったものの、沖合いにはインビンシブル級ヘリ空母やシャルル・ド=ゴール級空母、特殊部隊を中心とする最新鋭の強襲揚陸部隊を展開。旧式兵器にも関わらず、かつて精鋭の米海兵隊を恐怖のどん底に陥れた練度・士気の高いアイディード派民兵たちが多数待ち受けるモガデシオ市街へと、進攻を開始した……。


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