ふっ……昼から飲む茶は格別だな。さっぱり酔わないが眠気は覚める……。酒を買う金が無いから茶を飲んでいるんじゃない。酒が飲みたい時もあえて茶を飲むのが俺の流儀
徐庶ー! てめぇにもついに年貢の納め時がきたようだなぁ!
おや、浮世の雑音が聞こえるなぁ
お前、馬鹿にしているのか!!
俺の孤高なる男の世界が、またも世間を騒がせてしまったようだな……俺は罪深い男だ
ああ渋い……渋すぎるぞ、俺
このうぬぼれ野郎!! 話を聞きやがれ!!
あぁん?
び、びびるんじゃねぇお前ら!!やい徐庶。今日は、俺達『荊州鬼岩賊』の面々は勿論、本家『鬼岩賊』の皆さん
そして、最近盃をかわした『凶星』の奴ら、さらには……いつもだったら殺し合いをしてる『御喪等』の奴らも来てるんだ。これがどういうことかわかるかぁ、徐庶よ!!
これまた面白い顔が一堂に会したもんだな
てめえに制裁を与えにきたんじゃ!! 今日がお前の命日と知りやがれ!!
さすが兄貴! 難しい言葉を知ってるぜ!
あああああ、慌てるんじゃねぇよ! べ、別に、今ここでやろうってわけじゃねぇ。お店に迷惑かかるだろうが
てめぇには、常識ってもんがねぇのか!?
十日後の丁度真昼、この村の先の平原で決着をつけようじゃないか
怖かったり、忙しかったりしたら、来なくてもいいんだぜ?
無謀なる愚か者どもは、己に振りかかる悲しい宿命を知らない……
あと千人はつれてこい。これっぱかしの数じゃ腕鳴らしにもならん
て、てめえ……。十日後を楽しみにしてろよ
しばしの静寂が、俺の日常に戻った
なんともさわがしいのう。それにしてもなんじゃあの顔は。しばらく見ぬうちに、人間の顔はずいぶんと気味悪くなったものじゃのう
なんという可憐さ、なんという雅さ。なんという崇高なる美の極致で、あろうかっ!!
……いやあ、本当に騒がしい奴らでしたね……
はて、おぬしも十分に騒がしかったと思うが
僕はああいうやつら理解出来ないなあ。こんどあったら指先ひとつで昇天させてやりますよ。ホォァァアアアアッ! アタッ! アタッ!アタァアアアッ!
どうですお嬢さん。……十日後、僕の勝利の瞬間を目撃してみませんか? なんだったら今すぐでもいいですけど!!
お主はいつもああいうやつらと遊んでおるのか
いつだって完全勝利、ですけどね
……野蛮なものじゃな。この国の智はここまで暗くなってしまったか。なんとも嘆かわしいの
ふっ……どうも子猫ちゃんと俺の会話がかみ合っていない気がする……すれ違う二人の心……
ここにも智がかけらもない男が一人。世も末じゃな
……この俺に、智が感じられない……だと
ふっ……わかってるさ。俺と子猫ちゃんでは生きる世界が違ったということ。ただそれだけのことさ
……だがよ、男ってのはそんな簡単に生き方をかえられるもんじゃねえ。男には、男の世界があるんだぜ?
浮世の雑音が聞こえてくるのう