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日本が真珠湾攻撃に向けて準備をしている頃、遠く離れたハワイでくつろぐ一人の少女の姿があった。 | ||
彼女もまた、レイやナナと同じく、兵器でありながら自我を持つ少女である。 | ||
彼女の存在理由は敵を殲滅することだけ。しかし今の様子からはそんな雰囲気は感じられない。 | ||
???:「ん~♪ 今日も太陽がまぶしいぜ。やっぱハワイはいいよなぁ。アメリカの天国だ」 | ||
傍らにビーチパラソルとテーブルを置き、デッキチェアに水着で包んだその豊満な肢体をさらしている。 | ||
テーブルにはハワイアンが流れるラジオと、トロピカルジュースがおかれている。 | ||
本当に、戦争をする気があるのか、と問いたいところだ。 | ||
???:「あ~あ、いい陽気~♪ お馬鹿な日本はいつ攻めてくるのかなー。こっちが攻められるのを待ってるとも知らずに、本当に馬鹿なやつら」 | ||
言いながら、トロピカルジュースに手を伸ばす。 | ||
すると、トロピカルジュースのグラスにヒビが入った。 | ||
???:「なんだよ、不吉だな」 | ||
呟いた後に、ぶんぶんとかぶりを振る。 | ||
???:「あんな馬鹿な奴らにオレが負けるかよ」 | ||
気にするのをやめて、少女はぱんぱんと手を叩いた。 | ||
そしてウェイターがやって来ると。彼女は無言で割れたグラスを指し示し、グラスを新しいものに交換させた。 | ||
???:「早く攻めてこないかなー、馬鹿日本」 | ||
そう、アメリカは日本が攻めてくるのを待っていた。 | ||
日本を新たな自分の領土とするために。日本を相手に勝てる算段は、大いにあるのだ。 | ||
???:「日本が攻めてきたら、適当にお相手してやるか。アメリカのため。正義のために」 | ||
トロピカルジュースで喉を潤すさまは、とても扇情的だ。 | ||
けれども表情は、扇情的というよりも、不敵な笑みを浮かべていた。 | ||
日本との抗争を想像し、とても攻撃的な表情だった。 | ||
???:「ま、ただ待ってるのもなんだし。背中でも焼くかな」 | ||
少女は砂浜にうつぶせになり、手近なところにいた整備士を呼びつけた。 | ||
???:「おいお前」 | ||
整備士:「なんでしょうか、P-40」 | ||
???:「オレのことはクレアでいい。それよりも、少し日焼けをしたいんだ。オイル、塗ってくれよ」 | ||
整備士はクレアと呼ばれた少女の柔肌を見つめて少しうろたえた。 | ||
整備士:「僕がですか?」 | ||
クレア:「ここにオレとお前以外、誰がいんだよ」 | ||
整備士:「僕は男ですよ?」 | ||
クレア:「だからどうした」 | ||
整備士:「どうしたって……」 | ||
クレア:「四の五の言わずに、とっとと塗れ」 | ||
整備士:「……わかりました」 | ||
整備士はおずおずとした手つきで、クレアにオイルを塗っていく。その顔は、見事に真っ赤だった。 | ||
クレア:「水着の紐も解いて、背中全体に塗っていけ」 | ||
整備士:「水着の紐!?」 | ||
クレアはニヤニヤと笑いながら頷く。 | ||
間違いなく、クレアはこの状況を楽しんでいた。 | ||
クレア:「ああ、紐の部分だけ白かったら、みっともないだろ?」 | ||
整備士:「わ、わかりました。では、失礼します」 | ||
クレア:「腕とか足とかにも丁寧に塗ってくれよ」 | ||
整備士:「そ、それはご自分でも出来るんじゃ……」 | ||
クレア:「ごちゃごちゃうるさい。なんなら前の部分もオイル塗りさせてやってもいいんだぜ?」 | ||
整備士:「前って……わかりました、わかりました。塗ります、塗ります」 | ||
整備士はどぎまぎしながら、クレアの二の腕やふくらはぎにもオイルを塗っていった。 | ||
クレアは始終楽しそうにニヤニヤと笑っていた。まるで、いたずら小僧のような表情だった。 | ||
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