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兵 士:「ドイツ軍は着々と前線に兵力を固めている模様」 | ||
???:「むう、この前の冬までは我らが祖国の大地をいい様に蹂躙されてしまった」 | ||
難しそうにうなるのは、ソ連が誇る鋼の乙女――T-34・ロジーナ。 | ||
兵 士:「冬が来なければ危険でした」 | ||
ロジーナ:「だが、前回の冬で奴ら予想外の展開だったはず、戦車は重いから地盤が緩んだ大地は進み難い」 | ||
ロジーナの言葉に、兵士は深く頷いた。 | ||
ロジーナ:「準備が整う前に勢力を叩く!」 | ||
叫んでロジーナは兵士に命じた。 | ||
すると、一人の兵士が難色を示した。 | ||
兵 士:「しかし、この時期では我々の軍も上手く動けません」 | ||
ロジーナは発言した兵士を躊躇なく射殺した。 | ||
物言わぬ兵士を見下ろして、断言する。 | ||
ロジーナ:「こいつはスパイだ」 | ||
兵 士:「スパイ、ですか……?」 | ||
ロジーナ:「そうだ。敵の攻撃を良しとし、自分達の攻撃を良しとしない。スパイと判断するに充分な材料だと思うが?」 | ||
兵 士:「はっ」 | ||
ロジーナ:「他にスパイはいないか!?」 | ||
答えるものは誰もいない。当たり前だ。誰だって命は惜しい。全員が黙っているのを確認し、ロジーナは強く頷いてみせる。 | ||
ロジーナ:「出撃用意!!」 | ||
そんなソ連の行動などつゆ知らず、ドイツ軍前線基地では、来るべき時期に向けての準備が入念に行われていた。 | ||
ミハエルは、自己整備に余念なく、少しでも違和感があれば整備士の元に駆けより徹底的に原因を洗うことを続けていた。 | ||
ルーデルも、いつソ連の可愛い娘に出会ってもいいように、ロシア語の練習に余念がなかった。 | ||
突如、ドイツ前線基地に砲撃音が鳴り響いた。着弾音も、複数聞こえた。 | ||
ミハエル:「何事だ!?」 | ||
兵 士:「敵襲です!! ソ連軍が、大挙をなしてこちら側に攻め込んできております」 | ||
ルーデル:「あらん、意外と早かったのね、敵さんの動きは」 | ||
ミハエルとルーデルは慌てて外に駆け出した。ドイツ軍もソ連軍の奇襲を想定した準備を行ってはいたが、予想外の数で反撃の準備に手間取っている。 | ||
ルーデルも武器を持っておらず、戦える状況ですらない。そしてソ連機が、二人に向けて砲塔を構える。 | ||
ミハエル:「しかし、まだ甘いな」 | ||
いつ襲撃があってもいいように、万全を期していたミハエルは、ソ連機を撃墜。 | ||
ミハエル:「この場はオレが何とかする。それまでに準備を済ませておけよ、ルー!!」 | ||
ルーデル:「はぁい。じゃあ、戦闘準備に入るまで、よろしくお願いね、エルちゃん」 | ||
ミハエル:「やるぜー! ジークハイル!! ジークハイル!!」 | ||
燃えに燃えてるミハエル。やる気は充分、火力も充分だった。 | ||
ミハエル:「お前ら!! ドイツ軍に勝ちたかったらオレを倒してからにしろよな!! 倒されたいヤツからかかって来い!!」 | ||
その言葉にルーデルが面白くもなさそうに唇を尖らせる。 | ||
ルーデル:「私の獲物をとらないでよぉ、エルちゃん」 | ||
ミハエル:「とられたくなかったら、早く戦闘準備を済ませるんだな」 | ||
ミハエルはきっぱりと言い切り、走り出す。 | ||
ミハエル:「オラオラオラ~!突撃~!」 | ||
勢いよく、出撃するミハエル。ルーデルはその後に従った。 | ||
砲撃で応戦するミハエルは次々とソ連軍を倒していく。しかし、その遥か前方から怒涛の勢いで戦場を駆け抜ける一陣の風を発見する。 | ||
風――ロジーナは、軟弱な大地をものともせずに駆け抜けていた。 | ||
駆け抜けた後は敵味方を問わずに残骸が転がっていた。 | ||
ミハエル:「なんだよ、あいつ。味方まで巻き込んでるのか……?」 | ||
その滅茶苦茶ぶりは、ミハエルを驚愕させるに充分だった。 | ||
ミハエル:「普通、味方に攻撃はしないだろう? 戦力が減ってもいいのか? いや、それ以前に仲間だろう? 一体なんなんだ」 | ||
ミハエルの言葉に反応するかのように、ロジーナは次の標的をミハエルに定めると、一気に距離を詰めて爆走する。 | ||
ミハエル:「うおっと! ……ってててて」 | ||
すばやい攻撃をミハエルはなんとかかわすも、近くにいたソ連機体が被弾し爆発する。それでも軽傷ですんだミハエルは、ロジーナをにらみつけた。 | ||
ミハエル:「よくもやりやがったなぁ。誰だ貴様は?」 | ||
ロジーナ:「アタシはロジーナ、あなた達にこれ以上祖国の土を踏ませたくないの。祖国の大地を蹂躙するものには死を」 | ||
再び砲塔をミハエルに向けるロジーナ。 | ||
ロジーナ:「ふふ、あなたのナカは何色?」 | ||
少しにやりと笑う。 | ||
ミハエル:「うわぁ…」 | ||
少し引くミハエル。こいつは戦闘が始まると、周りが見えなくなっているようだ。 | ||
ミハエルはルーデルとは違う意味でやばいと思った。 | ||
ロジーナ:「ふふふふふっ。あははははっ。あーはっはっはっはっはっ!!」 | ||
高笑いをしながら主砲を乱射するロジーナ。ロジーナが通った後は、敵味方問わず、屍が累々の惨劇が広がっている。 | ||
ミハエルは『けっ』と吐き捨てた。 | ||
ミハエル:「無茶な突撃させて、逃げる兵は味方から撃たれるなんて正気の沙汰じゃないね」 | ||
ロジーナ:「ドイツ軍には言われたくないわね。ゲシュタ○のほうがひどいんじゃない?」 | ||
ミハエル:「ふん、そんなことはどうでもいい。今はお前をやるか、お前にやられるかだ」 | ||
ミハエルは全力で、ロジーナに襲い掛かった。 | ||
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