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1940年当時、イギリスに上陸するために制空権をとりたかったドイツ軍は、占領地フランスからイギリスへ航空爆撃を行うために移動していた。 | ||
ルーデル:「うふふふふ~。どんな可愛い子ちゃんがいるのかしらね~」 | ||
ルーデルはまだ見ぬ敵(正確には可愛い女の子)に心を躍らせていた。ちなみにその手にはHowTo本が握られている。 | ||
ルーデル:「あー、あー。ハロウ? ナイストゥミートゥ。ハウナイスガール!!」 | ||
どうやら、英国の言葉で女の子をナンパしようという算段のようだ。 | ||
エーリヒ:「あーもう、うるさいルーデル!! 敵国の言葉なんかしゃべらないでよっ!!」 | ||
レント:「腹が減ってるからって、八つ当たりはするな」 | ||
エーリヒ:「でもでも、敵の国の言葉をしゃべってるんだよ!? 裏切りだよ」 | ||
ルーデル:「エリちゃん、後でご飯をご馳走してあげるわね」 | ||
エーリヒ:「それならいいよ。敵を知り、己を知れば百戦危うからず! 敵のことも少しは知っておかなきゃね」 | ||
レント:「やはり腹が減ってイライラしてるだけだったか」 | ||
呆れたようにレントが突っ込む。エーリヒはえへへ、と笑ってごまかした。 | ||
エーリヒ:「でもでも、でもさぁ」 | ||
口を尖らせるエーリヒ。 | ||
エーリヒ:「燃費の悪いあたしには不向きな作戦だよ、これ。考えた奴の頭を、缶切りで開けて覗いてみたいね!」 | ||
エーリヒ:「絶対考えた奴、馬鹿だよ!! 脳みその変わりにかにみそが入ってると見てるよあたしは!!」 | ||
ルーデル:「どんな作戦であろうと、可愛い子に出会えるなら私は構わないわ~。今から楽しみでわくわくしてるの。このドキドキを誰に伝えればいいの?」 | ||
エーリヒ:「誰にも伝えなくていいよ。ウザイから」 | ||
ルーデル:「エリちゃんひどーい。ご飯おごるの止めようかしら?」 | ||
エーリヒ:「うそうそ、ごめんごめん、ごめんなさいっ!! ルーちゃんはうざくないですっ」 | ||
レント:「はぁ……お前達は好き勝手なことばかり言って……」 | ||
レントは少し不機嫌な様子で、口を開いた。 | ||
レント:「作戦が成功さえすれば他の行動は目を瞑るが、失敗した時は――」 | ||
レントは近くの海鳥を撃ち落とした。 | ||
ルーデル:「はーい、お口にチャック!! 今までうるさくしてごめんなさいっ!!」 | ||
エーリヒ:「でもあたし、おなかがすいたら動けなくなるんだもん。作戦考えた人に文句の一つも言っていいと思うな」 | ||
ルーデルは黙り込み、エーリヒの声は、小声になっていた。レントはルーデルとエーリヒの行動に対して、二人の性格を分析し、作戦のシミュレートを頭の中で行おうとした。しかし、舌の根も乾かぬうちに、再びドーバー海峡上が騒がしくなっていた。 | ||
エーリヒ:「あーん、お腹すいたお腹すいたお腹すいたよー」 | ||
ルーデル:「ハウアーユー? ハウグレイトガール!! レッツランチトゥギャザー!!」 | ||
レント:「えーとだな……二人の性格をかんがみるにだ……」 | ||
レントは難しい顔をして呟いた。どうにも上手く作戦が組み立てられない。 | ||
レント:「それも道理か。一癖も二癖もある二人を、どう扱えばいいのかなんて、神でも分からないだろう」 | ||
レントは頭を抱えるのだった。 | ||
???:「でしたら神の御許へ送って差し上げましょうか?」 | ||
ふと聞こえた声に振り向くと、そこにはメイド姿の少女がたたずんでいた。 | ||
しかし、ただのメイドがこのような場所にいるはずもなく、レントは身構えた。 | ||
ルーデル:「まあ、素敵なメイドさん!! そうよ、私はこれを求めていたのよ!! ハウナイスガール!!」 | ||
???:「お褒めいただき光栄ですが、あなた達をこれ以上先に進ませるわけにはいきません」 | ||
エーリヒ:「お腹減ってるときに敵ー? もう勘弁してよー」 | ||
レント:「マーリンか……」 | ||
マーリンと呼ばれた少女はゆっくりとレントを見つめた。 | ||
スピットファイア・マーリン――イギリスが誇る、スピードと正確さを持った戦闘機である。 | ||
レント:「なぜ私たちがこの空を飛んでると分かった?」 | ||
一人冷静なレントがマーリンに問う。するとルーデルが楽しそうに言った。 | ||
ルーデル:「神のお導きよ!! 私に可愛いメイドさんを出会わせるためよ!!」 | ||
エーリヒ:「あーん、もうお腹減ってるときに戦闘は勘弁ー」 | ||
ルーデル:「それと、エリちゃんがあんまり大きな声でお腹が減ったと騒ぐからね。敵さんに聞こえちゃったのかしら」 | ||
冗談めかして言うルーデル。そして、からかわれて黙っているエーリヒではない。 | ||
エーリヒ:「ルーちゃんが下手くそな英語の練習をしてるせいだよ!!」 | ||
レント&マーリン :「両方」 | ||
レントとマーリンが冷静に、声をそろえて突っ込んだ。レントは機銃を構え、ルーデルとエーリヒを見る。 | ||
レント:「さっきも言ったはずだ。作戦が成功すればそれでよし。失敗したならば……」 | ||
ルーデル:「わかってるわよぅ。安心して、レンちゃん」 | ||
エーリヒ:「お腹すいてて戦う気分じゃないけど、仕方ないね。あたし、やるときはやるよ」 | ||
ルーデルとエーリヒも戦闘態勢に入る。 | ||
エーリヒ:「要はここを切り抜ければいいんでしょ?」 | ||
レント:「作戦が成功するなら、その過程は問わない」 | ||
ルーデルが妖艶な笑みを浮かべてマーリンを見た。 | ||
ルーデル:「だったら、やることは一つよね。お姉さん、可愛い女の子でも敵なら容赦しないわよぅ? ここは、堂々と通らせてもらうわ」 | ||
マーリン:「そうは行きません」 | ||
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