金帝国崩壊・叛乱

 200X年X月X日、北朝鮮の新義州で大規模な群衆蜂起が起こり、全国に波及。これに呼応するように軍の一部も反乱を起こし、現在同国は内戦状態となっている。
 ここ数年間、北朝鮮では食料・燃料の不足が、もはや危機的なレベルにまで深刻化していた。2004年4月22日の金正日暗殺目的の列車爆破事件や同年9月9日のミサイル基地爆破事件も不満分子の仕業という説が有力だった。
 民衆の忍耐も限界に達しており、このため、現政権を転覆しようという動きが脱北者などを中心に高まり、北朝鮮正規軍の一部、特に若手の将校達がこの動きに同調し始めていた。また、蜂起用の資金も、脱北者や中国・ロシアの朝鮮族が提供していたと見る専門家が多い。
 このような末期的混乱の中、反乱軍部隊側が、首都・平壌に対して中距離弾道弾を撃ち込んだのを合図に、各地で戦闘が起こった。
 現在のところ、平壌とその周辺部には戒厳令が敷かれて政府正規軍が展開しているために、表面上の治安は保たれている。一方で、駐在していた外国大使館員やビジネスマンなどは、各国が派遣した救援機で、概ね退去を完了したとみられる。
 テレビやラジオでは、反乱軍部隊への投降を呼びかけているが、金総書記自身が演説を行なうなど、異例の事態となっている。消息筋によると、金政権は中国政府に軍事的援助を依頼したが、北京中央は介入が泥沼状態に陥ることを恐れ、これを拒否した模様である。

★マップについて
 このマップでは、韓国領・ロシア領の国境は越境不可に設定してある。設定的には本来、中国領も越境不可にすべきだが、この中朝国境は、中国領内の朝鮮族義勇軍が行き来するためにあえて表示のみの設定にしている。
 戦力的には、プレイヤーの革命義勇軍は、北朝鮮正規軍を包囲しているような布陣になっている。一見有利だが、逆に、越境不可の韓国国境などで背水の陣になっている箇所もあるので、注意したいところだ。


日中資源戦争・尖閣諸島攻防戦

 米国は、同時多発生物兵器テロによって全土に疫病が蔓延し、国際社会からも隔離され、事態の回復には一向に目処が立っていない。唯一の超大国たる米国が隔離されたことにより、世界経済はもとより、軍事的安定性も損なわれて、世界規模で紛争が多発している。
 このため、我が国でも、これまでのように安全保障を米国に頼ることが難しくなり、防衛費の大幅増を強いられている。
 日本政府はこれまで長い間、尖閣諸島に対する中国の度重なる領有権主張、さらには周辺の日本領海内及び排他的経済水域における強硬的な違法資源探査・採掘施設建設強行などに手を焼いてきた。
 そんな中、米国の安全保障が期待できなくなった状況下で、中国の潜在的脅威を警戒する日本政府は、尖閣諸島に恒久的な海上保安庁の前進基地を建設することを決定した。
 同時に、海上保安庁の主管を国土交通省から警察庁へと移し、尖閣諸島の防衛はもちろんのこと在外公館の警備任務や海上での臨検を行なう部隊として、陸上自衛隊の一部を海保に移行。海上保安庁陸上警備隊(通称「海保特別陸戦隊」)と呼ばれる機械化軽歩兵・空挺隊を含む陸上部隊を編成した。
 他方、海上自衛隊は、新型のヘリコプター搭載駆逐艦(DDH)として建造途中だった艦隊旗艦用護衛艦を、その用途が中途半端だとして、軽空母型に建造方針を転換。米海兵隊の垂直離着陸機AV-8ハリアーをリース運用し、遂に海自悲願の空母運用に至った。また、おおすみ型輸送艦も全通甲板型が改められ、ヘリポート用甲板を後部に配置して、船体前部に艦橋とヘリ整備用のハンガーを構築。併せてより多くの艦内スペースを確保して、本格的な強襲揚陸艦へと改装された。
 そんな折り、尖閣諸島沖で中国船籍の漁船が沈没するという事件が起きた。
 中国政府は、これを日本の巡視船が当て逃げした悪質な接触事故と激しく非難したが、これは中国当局の捏造だった。中国は、米国が大々的に動けない今こそ、尖閣諸島を無理矢理入手できる絶好の機会と踏んでいたのである。その真の狙いは、周辺海域に大量に眠る天然ガスや希少金属などの海底資源にあることは、今さら言うまでもない。
 これに対して日本政府は、接触事件そのものを否定。一連の騒動は、中国当局の陰謀であるとし、陸上自衛隊の対艦ミサイル部隊や施設科を尖閣諸島に送り、防備を固めに入った。また、海保や海自の第一護衛群なども増派された。
 中国政府はこれを、「歴史的な自国領土」に対する「侵略」と決めつけ、尖閣諸島を実力で奪還すると宣言、両国は戦闘に突入した。
 なお在日米軍は、生物兵器テロ被害に対する安全面から依然日本に駐留していたが、米政府は、米国本土の復旧作業のために、海外に展開している米軍兵力を当てにしており、兵力温存の観点からも戦闘には参加できない。ただし、一部の装備や弾薬の提供は約束している。

★マップについて
 現実の尖閣諸島は、じつはかなり小さい島と岩礁の集まりで、大規模な軍事施設の建設には向かない。が、このゲームでは、島嶼をデフォルメして大きく設定し、部隊の行動をしやすくしている。同様に他の島嶼も島間の距離と比べて大きめに設定してある。
 さらにマップスケールの関係で、中国大陸までの距離を圧縮してある点にも留意してもらいたい。このため中国軍は、比較的短時間で尖閣諸島へと接近可能だ。
 なお、マップの上辺は、現実の地図では北東方向にあたる。


中東新秩序・ヨルダン内戦

 米国は、同時多発生物兵器テロにより国際封鎖され、未だに疫病根絶の目処が立たない。そんな中で、後ろ盾を失ったイスラエルは孤立化し、周辺のアラブ諸国では不穏な動きが活発化している。
 そしてX月X日、隣国ヨルダンのアンマン市・新市街地で、国際会議に出席するべく移動中の国王が、イスラム原理主義者と思われる過激派の自動車自爆テロで暗殺されるという事件が起こった。国王本人以外にも側近5名、護衛など8名が死亡し、70名以上が負傷した。
 この暗殺事件に呼応するように、王室の反国王派が一部の軍部と組んで現政権に反対する声明を出し、それに共鳴した民兵らによってヨルダンは内戦状態となっている。
 暗殺された前国王は、先代の国王と比べて西側寄りの政策をとっていた。石油を産出しないヨルダンは、周囲の産油国に比べて貧しく、先進国の援助と農業・観光などが主たる外貨収入源である。このため近年では、前国王が兵器の国産化と兵器輸出を推進し、これがようやく軌道に乗り始めていた矢先のことだった。
 しかし、米国での同時多発生物兵器テロの影響を受けて、観光客は激減し、結果的にヨルダン経済は債務超過に転落。こうした経済悪化が、不満分子の勢力拡大に手を貸した形となった。
 シリア・イラク・イランは、反乱軍側をヨルダンの正当的な政権として承認する声明を出しており、シリアは反乱軍に応援部隊を派遣し、その他の周辺諸国からも続々と義勇軍が送り込まれている。
 また、この反乱は、米国及びNATOの軍事介入が無いと見てのものであり、背後では、駐留米軍や同盟国多国籍軍が米国封鎖に伴って撤退して完全に自治権を取り戻したイラクと、そのイラクの多数派・シーア派政権を援助しているイランが糸を引いていると見る専門家が多い。

★マップについて
 ヨルダン国内の内戦ということで、このマップにはまだイスラエルは登場しない。越境も不可である。
 またレバノン領も越境不可に設定してある。本来レバノンには、その傀儡政権を支えるシリア軍が恒常的に駐留しており、このマップに参戦しているシリア軍と一体となって行動できるはずだが、実際にはその地域のシリア軍が動いた場合、ゴラン高原を占領しているイスラエル軍との絡みが生じるため、この部分は本マップでは省略してある。あくまでヨルダン内戦ということで、介入してくるシリア軍もヨルダン国境に近い部隊という想定である。
 エジプト軍は、ヨルダン最南端のアカバ港からヨルダンに援軍に駆けつけているという想定だ。そのため、エジプト領の都市をヨルダン国内に便宜的に配置してある。
 なお、イスラム義勇軍には、自爆できる部隊が存在する点にも注意してほしい。


中共の暴挙・危うし金門島

 昨日未明、中国は金門島及び台湾本島に向けて、通常弾頭の弾道ミサイルを発射、また航空機による空襲を行なった。同日、廈門・香港を出航した艦隊により、金門島と台湾本島間の連絡が絶ち切られ、対岸の廈門では金門島上陸の準備が行なわれている模様だ。
 攻撃の背景には、米国が同時多発生物兵器テロによって国際社会から隔離され、依然疫病の根絶と国際社会への復帰が見込めないことがある。これを好機と捉えた中国が、台湾に軍事的圧力をかけるのは、当然の成り行きだった。
 中国は、これまで敵対関係にあったインドとの関係改善を進め、昨年にはついに軍事同盟締結にまで至ったが、これにより後顧の憂いがなくなったことも、外的要因であると見られている。
 また、内政的には、最大の貿易相手である米国への輸出がもはや見込めず、外貨獲得が激減していたことも大きい。その上、米国の監視が行き届かなくなったことによって、中国への投資・取引リスクが大きくなり、日本を始めとする外国資本が逃避。このことが、規模だけは拡大していたものの、磐石ではなかった中国経済に大打撃を与えた。
 これにより、以前から貧しかった内陸部、特に農村部では大量の餓死者が出て、各地で暴動が繰り返されている。これら国内の不満のはけ口として、対台湾戦争に踏み切ったのではないかというのが、専門家の一致した見方だ。
 中国政府が金門島の占領のみを狙っているのか、あるいは台湾本島侵攻まで視野に入れているのかは現在のところ不明だ。しかし一部の軍事専門家は、「要衝である廈門の目前にあって、軍事的に目障りな存在の金門島の占領を企てているのは間違いない。だが、台湾も、度重なる中国の軍事的恫喝に対抗する形で、金門島の兵力を増強していたので、中国軍が台湾本島まで侵攻するのは難しいだろう」と見ている。
 中国は第二次大戦後、数度に渡って金門島占領を企てたことがあるが、いっさい成功していない。

★マップについて
 金門島を巡る攻防戦ということで、とくに金門島をデフォルメで大きめに設定したマップである。台湾海峡の距離も、戦いやすいように実際よりは多少近付けてある。なお、マップの上辺が実際の地図の北西方向、下辺が南東にあたる。
中国側には、ミサイル基地が多数配置されているため、これをいかに迅速に叩き潰すかが重要となるだろう。


キプロス戦争・ギリシャVSトルコ

 以前からギリシャ系住民地域(キプロス政府)とトルコ系住民地域(北キプロス・トルコ共和国。トルコのみが承認しているが国際的には未承認)で南北に二分されているキプロス島では、両軍や民兵らの小競り合いが続いていたが、これがエスカレートし、ついに戦争状態へと突入した。
 国連のスポークスマンは「これは紛争というレベルを超えており、英軍を中心とする平和維持部隊はその任務を維持できる環境にない」として撤退を決定した。
 これを受けて、ギリシャ政府はギリシャ系住民を、トルコ政府はトルコ系住民を支持することを表明。両国とも直接的な武力介入を辞さない姿勢を見せている。
 この紛争の間接的かつ最大の背景は、米国がいまだ封鎖状態に置かれていることにある。イスラム原理主義過激派の行なった同時多発生物兵器テロにより複数の疫病が蔓延した米国は、国際社会から隔離され、1年が経つ。だが各国の支援も空しく、いまだ疫病を抑え込むことができないでいた。
 しかしながら現在、カリフォルニア州・ワシントン州では外国からの支援が功を奏し、ほぼ感染が沈静化している。WHOは今後はこれらの州を足がかりに、汚染地域を減らしていくと言明している。
 感染による死亡者は、既に一千万人を超えている。カナダ国境・メキシコ国境、ワシントン州境・カリフォルニア州境には、避難しようと押し掛かける米市民の一部の武装市民と、国境・州境を封鎖する米軍・カナダ軍・メキシコ軍、日本・NATO諸国などの同盟国警備兵、米州兵との間で、交戦状態も続いている。
 海上においては、同盟国の艦船・哨戒機などで国外逃亡者を封じ込めるための警戒が続いている。米国はもちろんNATO諸国は、こうした米国封鎖への支援に、いまだ手一杯の状態であった。
 ギリシャ・トルコというNATO加盟国同士の紛争が発生しそうな状態に対して、NATOスポークスマンは「NATOメンバー内での軍事衝突が起これば、これは非常に不幸な事態である」としながらも、米国封鎖という非常事態の下では、NATOが対応することは不可能であり、この紛争に介入する意志はないと述べた。
 またEU議会も、ギリシャは加盟国であるが、トルコもEU加盟を求めており、ここで西欧同盟軍を動かせばキリスト教世界対イスラム教世界の対立の構図になる恐れがあり、軍事的な介入は行なわないと明言、外交努力によって戦争をくい止めるとの決議を表明した。


もうひとつの太平洋戦争・新マリアナ沖海戦

 200X年X月X日、三自衛隊統合演習に参加した部隊が台風に遭遇、潜水艦を含む全部隊からの通信が突如途絶えた。台風通過後、すべての部隊が跡形もなく消え去り、自衛隊・海上保安庁・在日米軍が硫黄島及び周辺海域を、全力で捜索しているが、生存者や遺体はおろか、漂流物すら発見できていない。
 視察で訪れた防衛庁長官や統合幕僚長も含め、参加した自衛官1万名近くの生死も行方も一切不明で、家族は不安な日々を過ごしている。まさに「神隠しにあったとしか思えない」という首相の言葉通りだ。
 硫黄島及びその付近の空海域で行なわれたこの演習は、統合幕僚会議が統合幕僚監部(諸外国の統合参謀本部に相当)に組織変更されて以来3度目の三自衛隊統合演習だった。
 敵役含めて戦闘機・支援戦闘機・AWACS・P-3C・空中給油機・輸送ヘリ・潜水艦2隻・揚陸艦・艦隊補給艦・1個護衛群・対艦ミサイル部隊、特殊作戦群を含む2個旅団の地上兵力など、艦艇21隻、航空機136(固定翼機・回転翼機)機、車輌300両以上、人員9864人が参加する自衛隊創設以来の大規模な演習だった。
 情報本部が運用している偵察衛星からも、米軍の偵察衛星のセンサーからもその姿は忽然と消え失せた。気象庁も海上保安庁も学術研究者も、常識の範囲を超えた異常な事態と原因の解明に手間取っている。

★マップについて
 太平洋戦争中のマリアナ諸島沖にタイムスリップした自衛隊が、最新装備を持って旧米軍相手に戦いを挑むというSF的想定のマップである。もちろん旧帝国海軍の戦艦大和・武蔵や空母大鵬、零戦なども総登場する。ただし、一部の駆逐艦などの小型艦艇については、日米双方、省略してある。
 実際のマリアナ沖海戦では、さらに広範囲な海域で戦火が交えられたが、ここでは海域を多少縮小した設定になっている。そのため、索敵面では、それほど苦労することはない。また、島嶼は実際よりも大きめに配置してある。


冷戦の悪夢・電撃!ワルシャワ機構軍

 1981年2月14日のタス通信によれば、ソ連リトアニア共和国の首都ビリニュウスから西100キロほどの町マリアンポーレで、広島型原爆の約5倍の原爆が爆発、市民20万人以上が死傷し、周辺地域には死の灰が降りそそぎ、住民には避難勧告が出された。さらに、リトアニア・ラトビア・エストニアのバルト3国には戒厳令が敷かれた模様だ。
 ソ連のブレジネフ書記長は「我が国の調査によれば、これは米軍内とCIA内の反動分子が、ソ連を戦争に引き込むために行なった卑劣な奇襲攻撃である。米大統領が48時間以内に犯人を引き渡さなければ、ソ連は自国防衛のための懲罰行動に出る。また米国がさらに核兵器を使用するならば、我が国も核兵器使用を辞さない」と述べた。
 これに対して就任間もない米国のレーガン大統領は「ソ連の主張するような事実はなく、これはソ連による自作自演である。ソ連はアフガニスタン侵攻以来、多大な損害を出しているが、軍事的目的は達成できておらず、軍部に閉塞感が漂っていた。その解消のためにソ連が何らかの軍事行動を起こすのならば、米国も軍事力行使をためらう理由はない」とブレジネフ書記長を牽制した。
 米政府スポークスマンは「ソ連及びワルシャワ条約機構加盟国内では、軍用無線使用頻度が急増し、また部隊の移動も増えている。東側の動員開始は、誠に遺憾である。NATOとしても対抗処置を取らざるを得ない」とし、NATO諸国のデフコン(警戒レベル)を5から2に引き上げる声明を出した。
 その1時間後、ポーランド及び東ドイツ駐留のソ連軍が、西ドイツ国境に向かって進撃を開始した。

★マップについて
 かつて東西冷戦下で、もっとも恐れられていたワルシャワ条約機構軍の西ドイツ侵攻を描いたマップだ。当時は、侵攻の可能性が一番高い地点として西ドイツのフルダ峡谷が指摘されていたが、ここでもその地域を中心に、全面的な侵攻が開始されている。
 マップでは、東西ドイツ領域と比べて、その両脇のフランスやポーランドを、多少デフォルメして横に圧縮した比率で配置してある。またデンマークのあるユトランド半島は地形的に省略してある。ベネルクス三国の陣営も、陣営数の制約から割愛してある。
 プレイヤーの米軍は、在欧州軍が中心で、増援は登場しない点に注意してほしい。
 ポイントは、怒濤の数で攻め寄せる東側陣営に対してどこまで耐え凌ぎ、反撃の機会を捕らえるかにある。同盟軍を楯にして、背後に回り込むような戦術も必要となってくるだろう。


新生イラク崩壊・クルド民族決起す

 昨日、イラク北部から東部にかけて、民族の分離独立を求めるクルド人組織が大規模な反乱を起こし、イラク国家警備隊及び警察との間で激しい戦闘を繰り広げている。
 イラク戦争後も同国に留まっていた米軍は、長期に渡るテロによって人的被害が拡大し、本国でも厭戦気分が蔓延して、追い打ちをかけるかのように経済が低迷していた。経済界からは、イラク駐留経費の負担が経済の足を引っ張っていると、非難の大合唱になっていた。
 このため議会では野党が、世論を背景に大統領にイラク撤退を要求。国防長官は辞任し、ついに米軍はイラクから完全撤退した。
 その後、国連主導で平和維持部隊が治安の回復に当たっていたが、これもテロの対象となった。しかも、多数派を占め、同じシーア派の隣国イランとも関係が強い現シーア派政権に対して、フセイン元大統領を輩出し、北部を中心に居住する少数派スンニ派が、反政府活動を起こして暴動・テロが多発する事態となった。さらに、スンニ派は国家警備隊を中核に軍隊を組織し、本格的な内戦状態となった。
 国連は、内戦が起きている現状では、平和維持部隊が駐留する前提が崩れたとして、いったん部隊を撤退させることを国連総会で決議。3ヶ月前に撤退が完了した。
 その後イラク各地では激しい戦闘が行なわれたが、イランのてこ入れを受けた、シーア派が圧倒的に有利となった。もはやスンニ派の根拠地であるティクリートが陥落するのは、時間の問題と見られていた。
 そんな中、国内の混乱に乗じてクルド族4派が結集。クルド勢力の最大組織で、イラク北部アルビルを支配するKDP(クルド民主党)を中心とした4派連合は、シーア派イラク政府に対して、キルクーク油田を含むイラク国内のクルド族居住区の独立を求めた。また、拒否すれば武装蜂起も辞さないと宣言を出した。
 これまでクルド族は、4派が互いに反目し合っていて結束力が弱いと言われてきた。しかしクルド族は、制定されたイラク基本法で「連邦制」などの民族的主張を盛り込むことに成功したものの、主権移譲に関する国連決議1546ではこの部分が削られ、強い不満を抱いていた。それが大同団結をもたらしたとの見方が強い。
 ちなみにクルド族は、イラク国内に約7万5000人もの民兵組織を持ち、周辺諸国のクルド勢力を加えればその数はさらに膨らむ。
 KDPは「我々はイラク北部をクルドの国として分離独立を望むが、周辺諸国の同族の居住地を、新しいクルド国家に統合するつもりはない」と声明を出した。しかし、それらの地域からの独立運動参加者が続出しており、周辺諸国からは声明の内容を疑う声が強い。

★マップについて
 このマップにはイラクのほぼ全土が含まれるが、主な舞台となるのは、クルド民族が多数居住する地域を中心としたイラク北部である。その他の周辺諸国はすべて越境不可に設定してある。
 特筆すべきは現状のイラク軍の兵器構成だ。イラク戦争で、ほとんどの主力兵器・攻撃兵器は破壊・破棄されているために、かつての面影がないほど貧弱なのである。それでも、そのままではゲームとして成り立たないため、あえて少しだけ手心を加えてある。
 一方、クルド族側は、イラク戦争で米軍に協力したことなどから、イラク軍の装備よりは強力なものを、現在もある程度は保持しているとの想定である。