第5回「そもそもこのチームで優勝できるのかよ?」

「ひあがりさん、遅かったじゃないですか。ず~っと、待ってたんですよ! では早速、ミキサーズとやらを見せてもらおうじゃありませんか」

「我がミキサーズを指して、『とやら』とは何だね! とやらとは! それに心なしか、態度がでかくなってませんこと?
  まぁ、君が増長したのも、振り返ればすべて私の責任。ぇぇ、ええ、ヨシとしますよ、ヨシと。で、これが私の『オクラホマ・ミキサーズ』でR!」

「また昭和ですか。それに『主な登場人物』は、どーなったのですか?」

「主な登場人物って、君と私の二人しか登場せんだろ? 今後も確実にだ。だから4回も紹介すれば、充分だろう。
  そんな事はさて置いといて、我がチームの編成方針、それは、“超職人型編成”なのでR!

  打つだけの人、守るだけの人中心で、基本的に三拍子なぞ揃った選手はひとりしか居らん!
  また、持論通り、ピッチャーは“打たれてこそが華”! ここ一番で、相手チームの四番打者とマッコー勝負し、逆転場外弾を放たれてこそエースの証明なのだ!
  そして、できるだけ積極果敢に“特殊能力”を付ける事により、何気ない場面での活躍が期待大! となるのでR!
  だが! しかし! 守備固めだけは、守備だけにガッチリ守って行きたい所存でRと、矢鱈メタラ能力“A”を付けておる!」

「この投手陣の”球威”って、あまりにも軽過ぎるんじゃないかと思いますが。これじゃ、”コーン! スコーン! (強襲)”ですよ。
  だって守備能力が“A”でも、頭の上を越えて行っちゃうホームランは捕れないでしょ? それって能力ポイントの無駄遣いなのではなかろうかと思いますが?」

「ええい! 黙らっしゃい! 繰り返すが、ピッチャーは炎上&爆沈してこそが華! コレで良いのだ! トニカク優勝するのだ!」

「到底、優勝なんてできないと思うけどなぁ」

「(既に心はマナ意識帯へ)そして、ミキサーズのキーマン、いわゆるひとつの鍵男は、タテから見てもヨコから見ても、不動の四番、碑山なのだ。
  碑山のバットが火を噴けば勝ち、噴かなければ負けとなろう。と言う具合に、大変に分かり易いチームなのだ。
  そして、エースは山便(ヤマダヨリ)! いま“ヤマベン”と読まなかったかね? シロウト君!? ヤマダヨリだよ、ヤ・マ・ダ・ヨ・リ!」

「なんか、弱体投手陣を絵に描いたような陣容ですね。それにカーブを持っている投手が多いのは何故?」

「シロウト君、君は本当に野球小僧だったの? カーブを放れないピッチャーなんて私は認めません! 弊社の製品はカーブ実装率200%です」

「諸星とか、早田とか、カーブ持っていない投手も居ますよ」

「ああ、あれは“異☆人”だから良いのだ」

「異☆人って、どんなチームなんだよ!」

「そして監督は、広岡“大先生”達三でR!
  もちろんシーズン中の食事は玄米に野菜中心、アルコールと麻雀は禁止で当然。空いている時間には、歴史小説を執筆している。
  この広岡大先生、最近は大リーグの某GMの野球観に傾倒しており、初球から打って出る打者は使いません。また基本的にリスクの高いバントや盗塁はやりません。
  つーか、確実に盗塁できるほど足の速い選手は、レギュラーはおろか、控えにも居りませんです。以下、選手紹介」

主力野手

神宮寺チームでピカイチの国粋主義者。「一番右翼」。この一言が彼のすべてを現しているのだ! よって一番以外は打ちません(予定)し、右翼以外は守りません。特殊能力“アウトコースに強い”と“インコースに強い”を持っている、ミもフタも無い選手。
藤井彼の名は“フジイ”ではない! “トーイ”でR! 長野県出身(マニアック)。特殊能力“ミスター2ラン”を“気持ちはスタンド”で打ち消している恐るべき選手。ファーストを守る哀川とはライヴァル同士らしいぞ。
ビリビリ本名は“ビリ・ビリン”。バリバリのメジャーリーガーで、5億円プレイヤー。どうでも良い場面で一発打たせたら右に出る者は神宮寺だけだろう、右だけに。守備の拙さを肩でカバーするアバウトな男。
碑山その名も”爆弾イカ野郎!”ヒヤマ。改めて説明するまでもなく、チームの鍵男。“粘りのバッティング”でチームの窮地(:始める前から、もうピンチなのかよ!)を救うのだ!
哀川何気なく3ランを放つ能力、“ミスター3ラン”が光る。毎度毎度都合よく、ランナー1、2塁で打席が回ってくるようにと、“ラッキーボーイ”を付けてみた! (:ラッキーボーイの能力って、そんな能力じゃ全然無いんですけど)モチのロン、サードのレギュラー藤井には、激烈なライヴァル意識を燃やしている。
渋井兎に角、渋いシングルヒットが目立つ、いぶし銀。“かため打ち男”が付いているだけに、1本でるともう止まらない!?
坂井誰もが認める、世界の“優勝請負人(TM)”。第38期出身。敬礼!
民川東京湾から上陸を果たし、Thanksでデビュー、You gotta chanceを経て、Take it easyなライフスタイルの広島県出身水球選手。(:野球じゃないのかよ!)将来の夢は歌手になること。(:将来ってなんだよ!)
ミスター”セカンドはフリーパス”。彼が盗塁を刺した場面を目撃した者は誰もいない。リードも出鱈目だが、バッティングには光るものがあるぞ。

主力投手

山便しつこいようだが、彼の名前は“ヤマダヨリ・ヤマダ”。制球力が身上。ここ一番で炎上&爆沈させたら、右に出る者は神宮寺だけだろう、右だけに。(:神宮寺ってピッチャーなのかよ!)
和泉140Km超の速球を見せ球に、ブレーキの鋭いインサイドカーブでバッターに凡打の山を築かせる(予定)、左の絶対的エース。15勝は堅い(願望)!
山羅敷シンカーが決め球の右腕。それ以外のボールがあまりにもあまりなので、シンカーで打ち取る前に、爆沈する事がしばしば。
江川MAX150Kmを誇る我がチームの怪腕。まっすぐ(ストレート)とカーブの2球種だけで三振の山を築く(皮算用)、本格派速球投手の鑑的存在。もちろん場外本塁打を打たれる事にかけては、右に出る者は(以下、攻略)。
山田アンダースローからの快速球が冴える、ミスターサブマリン。シンカーが決め手だそうだが、こんな投手で本当に勝てるのか?
足立アンダースローからの超遅球が眠りを誘う、元ミスターサブマリン。伝家の宝刀シンカーの握りを、山田に盗まれたと憤慨しているらしい。
諸星左打者に強いセットアッパーで、異☆人。だからカーブを持っていない。ナックルを操る技巧派投手。しかし、ナックルを操るって、帰ってきた例の仲間を倒した人のメタファーなのか?
早田セットアッパーの一翼を担う異☆人。もちろんカーブ無し。“ハヤタフラッシュ”と自ら銘銘したパームボールが生命線の投手。そのスタミナは、マウンドでは急激に消耗する(らしい)。どんなピンチも、特殊能力“アイアンハード”で乗り切れる(妄想)!
山川彼がマウンドに登る。それはすなわち、チームの勝利を意味する。江川と並ぶ正統派速球投手。サヨナラホームランを打たれたら、右に出る者は(以下、アレ)。(:駄目じゃん!)

控え野手

上田カンセイ学院大学を主席で卒業したエリート。リードは天下一品。バッティングは満塁以外のチャンスでは役に立たない。森が不調の時のピンチキャッチャー。
川井ミスターインクレディブル。鉄壁の遊撃守備を誇るが、肩が弱い上にバッティングが壊滅的。
西澤坂井の右をキッチリと固める二番機。(:二番機ってなんだよ!)乙7期出身。敬礼!
本田坂井の左を護る三番機(:だから、三番機ってなんなんだよ!)49期出身。敬礼!
円谷日本の外野王。その名の通り外野ならどこでも守れるが、守れると言うだけで守備力は無いに等しい。“ランナー無しに強い”が付いているので、出塁率は意外と高い(予定)が、結局は器用貧乏。つーか、こんな選手に39ポイントも使って良いのか?
津末碑山さえいなければ、堂々のレギュラーを張れる逸材。守備固めで起用されるケースがほとんどだが、チームで唯一三拍子揃った非凡な存在感がベンチで光る!(:FAして他のチームに行けよ!)
笹井将来を渇望される天性の野球選手。坂井から英才教育を受けている。打撃は荒いが、パンチ力があり、守備も良いだけに、成長が楽しみだ。67期出身。敬礼!
羽藤レギュラー二塁手、渋井の後釜を狙う若手の一角。乙9期出身。敬礼!
横川このチームの選手にしては珍しく“初級打ち”が付いている。能力的には他の控え選手に見劣りしないが、ベンチ入りできていないのはそのためか? 40期出身。敬礼!
柿本レーザービームな肩を誇る若手のホープ。そのバッティングは、一発を打つ力も秘めている。47期出身。敬礼!

控え投手

進藤オーストラリア出身。ギリギリ地球人なのでカーブを持っている。竜巻投法で相手を幻惑する(予定)。
北斗超熱血漢で、打たれ強い。だがしかし異☆人なので、やるせないかなカーブを持っていない。
何時でも沈着冷静だが、滅法打たれ弱い。北斗のあわせ鏡で、二人でようやく一人前。やはり異☆人なので、カーブを当然のごとく持っていない。
立花宴会芸で二人羽織をやらせたら右に出る者は(以下同文)。愛車は国産の軽で、シルバー&レッドのツートンカラー。趣味が悪い。(:って、全然選手紹介になってねーよ!)
水鳥その投球フォームは優雅華麗だが、打たれだしたら止まらない残虐投法、軟投流一派の使い手。
本南順調に成長すれば、将来ローテーションを任せられる投手になるだろう。つーか、山田、足立よりも、彼の方が能力が高いような印象があるのは気のせいなのか?
小鳥遊名前が珍しいくらいで見るべきところ無し。人数あわせか? 次!
紅鶴そのボールのあまりの速さに、触れてもいないはずのバットにも当たってしまう使えない投法、軟投流一派の使い手。
白鷺打者の能力を心眼で読み切ったつもりで配球しては滅多打ちにあう無想投法、軟投流一派の使い手。手だけでなく、足でも投球できないか研究しているらしい。(:ルール違反かよ!)
本北江川、山川に続いて、将来を期待されている、本格派速球投手の中の本格派。こういう選手をこそ、積極的に起用して欲しいものだ。
桐山打者に対して攻撃的な投球をさせたら右に出る者は(以下繰り返し)。他のチームが勝っているのに、「あの勝ち星も我々の物だ!」が口癖の困った選手。
村松通称「某氏」。ベンチで控えている時には、いつもパイプを燻らせている。それが禁煙原理主義者広岡大先生の目に入り、粛清されて冷や飯を食う羽目に。とほほ。

「長いなが~い講釈がやっと終わったようですね」

「うむ、思い入れのあるチームだからこそ、説明も長くなろうと言うものよ」

「それで、やっと次回からペナントレースが始まるんですね。もうボクも、このページを覗いているお客様も、さんざっぱら待ちくたびれましたよ。」

「うむ、いよいよ次回から、本題のペナントレース開始だ!
 ・・・。
 ところでシロウト君。実は重要な問題をひとつ見つけたのだよ」

「はいはいはい。今度は一体全体何なんです?」

「君のチームは、ブルーウェーブをベースにして作っているだろう?」

「ええ、ご存知の通りです。ひあがりさんに強制させられたんですけどね! それが何か?」

「それがだな、日程を確認したところ、君のチームは開幕3連戦でライオンズ、次の3連戦でホークスと、パ・リーグが誇る2強チームと当たるのだよ、これが」

「ふ~ん。・・・。な、なんだってぇーっ!

「と言う事で、この6連戦。無事乗り切ればAクラスが狙えようが、もしも開幕で躓くようなら、チームはぼろぼろなダチョウだよ。それは君も望まんだろう?」

「そうですよ! 当たり前ですよ! 何とかしてくださいよ」

「そこで、だ。『戦プロ』のチーム入れ替え機能を使って、登録順番をシャッフルし、日程を少しばかりイジル事にする」

「なら一安心です。だからと言って、恣意的なシャッフルはやめてくださいね。クレグレモ本当によろしくお願いしますよ」

「分かってるってばよ! まぁ、任しンしゃい!
 では、次回、『そもそも開幕戦はどーなったのよ?』に続くぞなもし」

(次回、ようやくペナントレースが開幕か!?)